【書籍レビュー #1】無理なく限界を突破するための心理学「突破力」:バイアスから脱出し最大限の能力発揮するテクニック
本書のキモ
”限界を超える”なんていうのは不可能。だから自分の限界を知り、その中で最大限の利益を求めることが必要なんじゃない?
自分の限界はどこにあるのか
自分は努力次第でなんでもできる!というのは幻想にすぎません。現実を見ると
- 身長は変えられないしなぁ...
- IQ上げるの無理!
といった感じで、大体は遺伝と環境で決まっちゃうわけですね。
しかも限界というのは状況によってコロコロ変わります。二日酔いで集中できないのとか、嫌な上司のもとで働くと不安になっちゃうとか色んな要素が関係するんですね。
だから大事なのは
- 生物学的な限界は認めよう
- 自分の中の限界は試してみつけよう
という二つのポイント。
身長とかIQとかの遺伝で決まっちゃう限界は飛躍的に改善できないと認めないと先へ進めません。そして、それを認めた上での限界はとりあえず試してみないと分からないんですね。だって色んな要素が関係しているから。
あーまたそのパターンか。と思いたくなっちゃいますが、大事なのは本当に上のポイントを理解できていますか?ということ。
もっと言えば、
- バイアスに引っ張られて限界突破しようとしてない?
ということを振り返って、対策することが合理的な判断につながるわけです。
バイアス対策のテクニック
バイアスを対策する上で重要になるのは
- 客観視をする
- 極端な判断はしない
- 細分化をする
という3つのポイントです。具体的なテクニックは以下の通り。
比較するときは並べない
何かを比較するときは必ず一つ一つを見るようにします。データを並べると他のデータに引っ張られてしまうからです。
- 例)極端に安い物件を見ると他が異様に高く感じてしまう
最高と最悪の中間を選ぶ
物事の比較や判断の際は最悪の例を想定し、その対策を練ることは良い判断の基本ですが、最終的に迷ったら中間を選ぶようにします。この判断には想定した対策を踏まえられると良いです。
- 例)出社してコミュ力を鍛えたいけど、人間関係がもつれて病んでしまうかもなぁ。だったら週2~3回テレワークができる職場を選ぶかー。
分割して考える
曖昧な判断をしないためにも、なるべく細分化して考えるのがコツ。具体的な想定がバイアス克服につながります。
- 例)今年は100kgベンチを上げるぞ!そのためには来月までに80kgを目標にすればいいか。それを実現するトレーニングは...
時間をおく
判断は時間を置いて落ち着いてから見直すことで客観性を補うことができます。時間がないときは第三者に見せるというのも良い方法です。
- 例)これ買った方がいいかなー。とりあえず明日また考えるか。
if thenプランニングをする
バイアスに引っ張られず行動するためには具体的なトリガーを想定するのが良い方法です。
- 例)もし定時で帰れたら、夕食前に30分だけ統計の勉強をする。
休憩時間には関係のないことをする
同じことを続けていると脳が慣れてしまい、バイアスの影響を受けやすくなります。そこで休憩時間をとってリフレッシュしましょう。特に有効なのは新しいスキルを学ぶことです。
- プログラム書いていたから、30分テニスしてリフレッシュしようかなー。
相手に意識を向ける
自分で精一杯な人は視野が狭くなりバイアスの影響を強く受けます。これを改善するためには感謝の日記などで他人に目を向けるのが良い方法です。難しい場合は家計簿をつけるなどでもOK。
- 例)自分は失敗ばかりで無能だ...でもここまでできたのは皆のおかげだ。次はもっと練習して成果で皆に恩を返そう!
典型的なバイアス
じつはバイアスを知ることが一番簡単なバイアス対策になります。そこで本書から7つを厳選してバイアスを紹介します。
高感度ギャップ
何の根拠もなしに嫌われたと思ってしまう。特に初対面でなんか「うまくいかなかった...」というのはこのバイアスのせい。
- 対策)たいていの場合は、相手は自分が思うよりも好意を持っていることを自覚する。
価値フィルタ
自分の価値観に沿って相手を判断してしまうバイアス。たとえば努力が全てと思う人にとっては、残業している人に好意を抱きやすくなる。
- 対策)判断するときは「これって俺の好き嫌いが入ってるんじゃ...?」と疑ってみる。
潜在的差別
心の奥底で弱者を馬鹿にしてしまうバイアス。たとえば聞いたことのない大学出身の人が自分よりも劣っていると思ってしまう。
- 対策)自分は平等だ!と思っていても、バイアスが隠れていることを自覚しておく。
ネガティブ
マイナスなことに意識がむくバイアス。嫌なことに囚われてしまい、それ以外に目が向かなくなってしまうことで失敗が増える。
- 対策)なんだか上手くいかないときは、嫌なことにだけ目を向けていないか確認する。
単純緊急性効果
重要度よりも締切が近いものを選んでしまうバイアス。重要だけど先のことを軽んじてしまう。
- 対策)「締め切りだけで選んでいないか?」と自問する。
隠れナルシスト
自分は平均以上だと思い込むバイアス。言葉だけで行動に移さない。批判に弱くなり努力をしなくなる。
- 対策)どうして認めてくれないんだ!じゃなくてもっと頑張って周りに貢献しよう!と思うようにする。
真実隠蔽
自分の気持ちや考えを言うと嫌われると思ってしまうバイアス。言っていることが相手に依存して信頼されなくなる。
- 対策)正直に言っても人間関係はびくともしない。むしろ好転する。自分の正直な感情と矛盾しない発言を心がける。
バイアス対策トレーニング
上でバイアスを見てきましたが、結局バイアスを乗り越えるには何をすればいいのか?に対する答えは
- 常に一歩引いた視点で考える「客観性」をトレーニングしよう!
ということになります。自分に囚われるなということがキモなんですね。
本書によると客観性を鍛える有効的なトレーニングは以下の三つです。
トレーニング:セルフモニタリング
自分の行動や感情を観察・記録することで自分に対する客観性が育ちます。特にこれを行う場合には
- 何が「楽しい」と思ったのか
- 何が「達成感」につながったのか
ということに注目することで、あいまいな感情に流されず正しい行動をとることができます。
トレーニング:批判的思考
物事を批判的に捉える思考法です。IQの高さとは相関が薄く、この思考法を身につけることで感情に流されず合理的な判断ができます。
詳しくは以下を参照してください。
(準備中)
トレーニング:知的謙遜
自信のある分野かどうかに関わらず「まだまだ」だと思えるかどうかで判断します。この能力がないと、自分は物知りなんだと思い込んで変な判断を下してしまいます。
知的謙遜を鍛えるには以下の三つを意識します。
- 人に教えてみる。
- 自分のトラブルを相手のトラブルだと考える。
- 周りに人がいるときに判断する。
人に教えてみると、たいていは上手くいかないことが分かります。そこは理解が及んでいません。この事実を受け入れ「自分はまだまだだ」ということを自覚します。
また人間は自分の問題を軽視する癖があります。そこでトラブルを他人事で考えることで客観性を取り戻します。
実際に人がいる場合でも似たような効果が生じます。たとえ会話をしなくとも、周りの目があることで独りよがりな判断を防ぐ効果が生まれます。